私がまりやの家に入社してから今年で20年になります。

まりやの家に初めて見学させていただいた時のことは今でも忘れられません。当時、先代の理事長の自宅を開放しデイサービスと宅老をしていました。ログハウスみたいな建物で、利用者様がイキイキした表情で迎え入れてくれました。お茶も利用者様が入れてくれました。スタッフも利用者様と一緒に座っていました。お子さんもいました。みんなが一つの家族のように見えました。

私がそれまで見学してきた施設は、スタッフが常に動いていて、利用者様の傍らにはいない、利用者様は表情が乏しい。若しくは皆さんで同じ活動をしている。というのが施設の印象でした。なので、まりやの家を見学したときにあまりにも違い衝撃的でした。

先代の理事長の話を聞き、自分の両親や身内に介護が必要になった時にはこんな施設に入れたらいいな。人としての尊厳を大事にしてくれる温かい施設だな、という気持ちになり、その日すぐに両親に伝えたのを覚えています。

介護の仕事は、資格がなくとも未経験であっても誰にでもできる仕事と思われがちですが私はそう思いません。入社時に、未経験の方は大歓迎ですが、イコール誰でもできる仕事とはつながらないと思います。

相手のことをよく知り、その方がいつまでも笑顔で生活していただけるためにまっすぐに向き合い、寄り添い、話を聞き、一緒に同じ時間を過ごしていくことが大事だと思っています。

今まで何名もの利用者様との出会いがありました。その中で忘れられない出会いがあります。

私のことを孫としたってくれて、食事の時も「これ食え」と自分のおかずを私のところに持ってきてくれたり、私が足をぶつけたときにはほかのスタッフを呼びに行ってくれたり、旅行の時には一緒に休んだり・・・とにかく何をするのも一緒でした。

一緒にいることで、今何をしたいのか、どうしたら笑顔になっていただけるのか常に寄り添って考えることができました。私にとってもおばあちゃんでした。

スタッフもいろんな性格の方がいるように、利用者様にもいろんな性格、個性があっていいと思います。むしろ個性が出せる施設こそ、その方にとって過ごしやすい自分らしい施設になっている証拠ではないでしょうか。利用者様の尊厳を大切に利用者様の立場に立って考えていければと思っています。